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  • 手作業の工程は「治具」と「装置」どちらにすべき?費用と判断の目安を同じ作業の3つの実例で解説
2026.10.14
コラム

手作業の工程を楽にしたい。でも、手で動かす治具(じぐ:作業のときに製品を決まった位置で押さえたり、刃や工具の向きをそろえたりする道具)で足りるのか、自動で動く装置まで作るべきなのか。費用の見当もつかない。この記事は、そう迷っている現場責任者・生産技術の方・経営者の方に向けて書いています。

結論から言うと、「人が付いていても困らない作業」なら、まず手で動かす治具を検討するのが基本です。 人手が足りない、作業量が多すぎる、けがの心配がある、といった事情が重なったときに、安全カバー付きの装置や自動化装置へ段階を上げていきます。

費用の差は大きく、株式会社関東精密(横浜市都筑区)が手がけた実例では、同じ「射出成形品(しゃしゅつせいけいひん:溶かした樹脂を金型に流し込んで作ったプラスチック部品)」の後処理で、次の3つの答えがありました。

  • 手で動かす卓上のゲートカット治具:50万円(税別)
  • 安全カバー付きのゲートカット装置:150万円(税別)
  • バリ取り自動化装置:約300万円(税別)

同じような作業でも、治具と自動化装置では費用がおよそ6倍違います。以下、どこで線を引けばよいかを順に説明します。

目次

手作業を効率化する方法には、どんな選択肢がある?

大きく分けて「手で動かす治具」「安全カバー付きの装置」「自動化装置」の3つがあります。

どれも「作業を速く、同じ仕上がりにする」ための道具ですが、人がどこまで関わるかが違います。

1. 手で動かす治具とは?

人が作業することは変わらず、「迷い」と「ばらつき」を道具が取り除くものです。

製品を置く場所が形で決まっていて、レバーを引けば毎回同じ力・同じ角度で作業できる。電気や制御はなく、人の手の力で動きます。構造が単純なぶん、費用も期間も3つの中で最も小さく済みます。

2. 安全カバー付きの装置とは?

刃や動く部分をカバーで囲い、作業する人の手が危ない所に近づかないようにした装置です。

治具よりも大がかりになりますが、「速さ」だけでなく「安全」を形にしたい場合の選択肢です。刃物を扱う工程や、力のかかる工程で検討されることが多い形です。

3. 自動化装置とは?

人が行っていた動作そのものを機械が行い、人は見守りや補充に回る装置です。

モーターやセンサー、PLC(ピーエルシー:機械の動きを決まった順番で制御する専用の小さなコンピューター)などを組み合わせて作ります。機械の設計だけでなく電気・制御の設計も必要になるため、費用も期間も大きくなります。

治具・安全カバー付き装置・自動化装置の違いを表で比べると?

「費用」と「人がどこまで関わるか」が一番大きな違いです。

下の表の費用は、関東精密の実例の金額です。「人の関わり方」「向いている場面」は、一般的な目安として書いています。

手で動かす治具 安全カバー付きの装置 自動化装置
実例 ゲートカット治具 安全カバー付きゲートカット装置 バリ取り自動化装置
費用(税別) 50万円 150万円 約300万円
人の関わり方 人が製品を置き、レバーなどを手で操作する 人が操作するが、刃や動く部分はカバーの内側にある 機械が作業し、人は製品の補充や見守りを行う
向いている場面 作業する人はいるが、時間がかかる・仕上がりがばらつく 刃物や力のかかる作業で、けがの心配を減らしたい 作業量が多い、人手が足りない、同じ動作を長時間くり返す

作業時間と期間の数字がそろっている2つの実例は、次のとおりです。

ゲートカット治具 バリ取り自動化装置
1個あたりの作業時間 約70秒 → 約10秒 90秒 → 7秒
短縮の割合 約86%削減(約7倍) 約92%削減(約12.8倍)
作業する人数 パートタイマーでも熟練者と同じ仕上がりに 3名 → 1名
期間 設計 約1か月+製作 約2週間 構想から完成まで 約3〜6か月
費用(税別) 50万円 約300万円

治具でも1個あたりの時間は約7分の1になっています。「自動化しないと効果が出ない」わけではない、というのがこの表から分かることです。

治具と装置、どちらにするかはどう決めればいい?

「作業量」「人手」「安全」「予算」の4つを順に確かめると、答えが絞れます。

作業量が多いなら、どちらが向いている?

1日中同じ作業が続くほどの量なら自動化装置、そこまでではないなら治具が向いています。

治具は、1個あたりの時間を縮めても、人が1個ずつ作業することに変わりはありません。作業量が増えれば、そのぶん人の時間も増えます。自動化装置は、機械が動いている間、人は別の仕事ができます。作業量が多いほど、装置の高い費用を回収しやすくなります。

人手が足りない場合は?

「人はいるが、慣れた人しかできない」なら治具、「そもそも人がいない」なら自動化装置です。

ゲートカット治具の実例では、製品を置いてレバーを引くだけの作業にしたことで、パートタイマーの方でも熟練者と同じ仕上がりになりました。熟練の人に頼っていることが悩みなら、治具で解決できることが多いものです。

一方、バリ取り自動化装置の実例では、作業者が3名から1名になりました。人を集めること自体が難しい職場では、この差が大きく効いてきます。

安全面が気になる場合は?

刃物や力のかかる作業で、手が危ない所に近づく心配があるなら、安全カバー付きの装置を検討します。

治具でも安全は考えられます。ゲートカット治具も、刃が外に出ない構造にしています。ただ、「カバーで囲って、手が入らない状態にしたい」というところまで求めるなら、治具ではなく装置の形になります。けがのリスクを下げることは、作業時間の短縮とは別の価値です。

予算はどう考えればいい?

「装置の費用」と「浮いた人の時間」を比べて、何か月で取り戻せるかを見積もるのが分かりやすい方法です。

ここでは計算例として、仮の数字を置いてみます(実際のお客様の数字ではありません)。

計算例1:手で動かす治具(50万円)の場合

  • 1個あたり約70秒 → 約10秒なので、1個につき約60秒の短縮
  • 仮に、月に1,000個を処理するとします
  • 60秒 × 1,000個 = 60,000秒 = 約16.7時間/月
  • 仮に、人の時間の費用を1時間2,000円とすると、約3.3万円/月
  • 50万円 ÷ 約3.3万円 = 約15か月で取り戻せる計算

計算例2:自動化装置(約300万円)の場合

  • 作業者が3名 → 1名なので、2名分の時間が浮く
  • 仮に、2名がこの作業に月160時間ずつ付いていたとします
  • 2名 × 160時間 × 2,000円 = 64万円/月
  • 300万円 ÷ 64万円 = 約5か月で取り戻せる計算

数字の置き方で結果は大きく変わります。月の処理数が少なければ、治具でも回収に何年もかかります。逆に人が専任で付いているほどの量なら、高い自動化装置のほうが早く元が取れることもあります。まずはご自身の現場の「月の個数」と「今1個に何秒かかっているか」を測ってみてください。 それだけで判断がかなり楽になります。

なぜ1台だけの治具や装置は高く感じるの?

設計や製作にかかる費用が、すべてその1台に乗るからです。

治具や専用装置は、その現場・その製品のためだけに作る「1個もの」がほとんどです。量産品なら設計の費用を何千個・何万個で分け合えますが、1個ものではそれができません。そのため、材料だけを見て「この大きさで50万円?」と感じられることがあります。

費用の中身や、同じ治具を追加で作るときの考え方(設計データの権利がどちらにあるかで費用が変わる点)は、「治具製作の費用」の記事でくわしく説明しています。

同じ「ゲート・バリの処理」で、実際にどう作り分けた?

同じ射出成形品の後処理でも、作業量・安全・人手の事情によって、治具・安全カバー付き装置・自動化装置の3通りの答えがありました。

射出成形品には、樹脂の通り道だった「ランナー」や、製品への流れ込み口の跡である「ゲート」が付いています。また、金型のすき間からはみ出した薄い余分「バリ」も出ます。これらを取り除く作業は、手でやると時間がかかり、仕上がりが人によってばらつきやすい工程です。

※客先の情報保護のため、お客様の名前や業界は伏せています。

実例1:手で動かす卓上のゲートカット治具(50万円・税別)

「置いてレバーを引く」だけのワンアクションにして、1個約70秒を約10秒にしました。

  • 課題:射出成形品のランナー・ゲートを手で切り離しており、時間がかかり、仕上がりも人によって違った
  • 工夫:製品サンプルと3Dデータ(立体の設計データ)から設計。製品の形に合わせたくぼみ(倣い形状のポケット)に置くだけで位置が決まるようにした。テコの原理で押さえる仕組みと、カッターの向きをそろえるガイドで、毎回同じ力・同じ角度で切れる
  • 安全と長持ち:刃が外に出ない構造にし、すり減りに強い材質を使った。本体はアルミ製で、大きさは約300×400×500mm
  • 結果:1個あたり約70秒 → 約10秒(約86%削減)。パートタイマーの方でも熟練者と同じ仕上がりに
  • 期間:設計 約1か月+製作 約2週間

くわしくは「ゲートカット治具」の実績ページをご覧ください。

実例2:安全カバー付きのゲートカット装置(150万円・税別)

同じゲートを切り離す作業を、安全カバーを付けた装置として作った例です。

治具より費用は大きくなりますが、刃物を扱う工程で「作業する人の安全」を重く見る場合の答えです。くわしくは「安全カバー付きゲートカット装置」の実績ページをご覧ください。

実例3:バリ取り自動化装置(約300万円・税別)

人が行っていたバリ取りを機械に任せ、1個90秒を7秒に、作業者を3名から1名にしました。

  • 課題:樹脂の射出成形品のバリ取りを人の手で行っており、1個90秒かかり、3名が付いていた
  • 工夫:まずバリをどう取るかという工法(作業のやり方)を確立し、成形品の形に合わせてブラシの配置を決めた。機械の設計に加えて、電気、PLC、回路基板まで社内で設計し、組立・現地での調整まで一社で行った
  • 結果:1個あたり90秒 → 7秒(約92%削減・約12.8倍)。作業者3名 → 1名
  • 大きさ:500×400×600mm
  • 期間:構想から完成まで 約3〜6か月

くわしくは「バリ取り自動化装置」の実績ページをご覧ください。

3つの実例から分かること

「一番高いものが一番良い」わけではなく、困りごとの中身に合わせて選ぶことが大切です。

  • 時間とばらつきを減らしたいだけなら、治具で十分な効果が出る
  • けがの心配を減らしたいなら、安全カバー付きの装置
  • 人手そのものを減らしたいなら、自動化装置

治具だけで解決できた例は、ほかにもある?

あります。作業の種類が違っても、治具で「迷い」と「ばらつき」をなくすだけで、大きく変わることがあります。

  • ベンダー用曲げ型の加工治具:長さの違う曲げ型をまとめて載せて一度に加工できるようにし、1本ずつ加工していた頃と比べて段取り(加工を始める前の準備)の時間が3分の1になりました
  • 樹脂ギヤのキー溝加工治具:治具を機械に固定し、製品を入れるだけにしたことで、不良がほぼなくなりました
  • 弓形部品の穴の検査治具:穴の位置に合わせてピンを並べ、1個の検査が一瞬で終わるようにしました

どれも電気や制御を使わない治具です。「装置にしないと無理だろう」と思っている工程でも、一度治具で考えてみる価値はあります。作業用の治具については「作業治具と生産性」の記事でもくわしく書いています。

今ある古い治具を活かす方法はある?

使わなくなった治具や、すり減った治具を改造・改修すれば、新しく作る場合の30〜50%の費用で済むことがあります。

関東精密で行った改造では、次のような例があります。

  • すり減った加工治具の、傷んだ部分だけを差し替えて位置ずれを解消。費用は新規の50%、期間は新規なら1か月のところを1週間
  • 検査治具の測定できる範囲を、φ10〜50mm から φ10〜100mm に広げた。費用は新規の50%、期間は2週間

写真や図面を送っていただければ、改造できるかどうかの診断・評価は無料で行っています。くわしくは「治具の改造・改修」をご覧ください。

治具か装置か迷ったら、どう相談すればいい?

「今の作業のやり方」と「困っていること」が分かる材料があれば、図面がなくても相談できます。

次のものがあると、話が早く進みます。

  • 製品の写真や現物:どんな形のものを扱うのか
  • 今の作業の様子:写真や動画、作業の手順
  • 今かかっている時間:1個あたり何秒か、1日・1か月に何個か
  • 困っていること:時間、ばらつき、人手、安全のどれが一番の悩みか
  • 予算の目安:「治具の範囲で」「装置も考えたい」など、大まかでかまいません

お問い合わせフォームからは、画像や資料を最大10枚まで添付できます。図面がない場合でも、現物を3Dスキャン(立体の形を読み取ること)して、その形を反転させた治具を設計する方法もあります。

依頼の流れや準備するものは「治具製作の依頼の流れ」、期間の目安は「治具製作の納期」、自社で作るか外に頼むかで迷っている方は「治具の内製と外注」の記事もあわせてご覧ください。

関東精密が選ばれる理由

治具から装置まで、設計・部品加工・組立を一社でまとめて引き受けられることです。

1. 治具から装置まで、設計から組立まで一貫対応

精密部品の加工から、治具、装置の製作までワンストップで対応しています。バリ取り自動化装置では、機械・電気・PLC・回路基板の設計から、組立・現地調整まで一社で行いました。治具にするか装置にするかを、同じ窓口で比べて相談できます。

2. 自社で部品を加工しているから、現場目線の設計ができる

治具の部品は自社で加工しています。加工する側の目線、使う側の目線の両方で、無理のない設計を考えます。平均20年以上の経験を持つ職人が、最新の設備で加工しています。加工精度は±0.001mm(1000分の1ミリ)です。

3. 図面がなくても相談できる

図面がない、相談ベースの段階からお受けしています。製品サンプルや3Dデータ、現物の3Dスキャンから設計することもできます。

4. 見積もりは即日返信

お見積もりのご依頼には即日で返信しています。全国への発送にも対応しています。

5. 機密情報の扱い

お預かりした図面や製品の情報は社内で厳重に管理し、秘密保持契約(NDA:情報を外に漏らさないという約束の契約)にも対応しています。

よくある質問

Q1. 手で動かす治具と自動化装置、費用はどのくらい違いますか?

関東精密の実例では、手で動かすゲートカット治具が50万円(税別)、バリ取り自動化装置が約300万円(税別)で、およそ6倍の差がありました。費用は製品の形や作業の内容によって変わります。

Q2. 自動化しないと、作業時間は大きく減らせませんか?

そんなことはありません。手で動かすゲートカット治具でも、1個あたり約70秒が約10秒になりました(約86%削減)。

Q3. 治具と装置では、完成までの期間はどう違いますか?

実例ではゲートカット治具が設計約1か月+製作約2週間、バリ取り自動化装置が構想から完成まで約3〜6か月でした。装置は電気や制御の設計が加わるため、長くなります。

Q4. 最初は治具で始めて、あとから装置にすることはできますか?

考え方としては有効です。治具で作業のやり方が固まると、どこを機械に任せればよいかが見えやすくなります。まずは今の困りごとを伺い、どちらが合うかを一緒に考えます。

Q5. 図面がなくても相談できますか?

できます。図面がない段階からご相談を受けています。製品サンプルや3Dデータ、現物の3Dスキャンから設計する方法もあります。

Q6. 1台だけ作ると割高になるのはなぜですか?

設計や製作にかかる費用が、すべてその1台にかかるからです。量産品のように、多くの数で費用を分け合うことができません。くわしくは「治具製作の費用」の記事をご覧ください。

Q7. 使わなくなった治具を作り直すことはできますか?

改造・改修で活かせる場合があり、新しく作る場合の30〜50%の費用で済むことがあります。写真や図面を送っていただければ、診断・評価は無料です。

Q8. 神奈川県外からでも頼めますか?

頼めます。全国への発送に対応しています。お問い合わせフォームからは画像や資料を最大10枚まで添付できるので、まずは写真を送ってご相談ください。

お問い合わせ

手作業の工程を、治具にするか装置にするかで迷っている方は、まずは今の作業の様子をお聞かせください。お問い合わせは、代表の杉田が直接うかがいます。

  • 会社名:株式会社関東精密
  • 所在地:〒224-0053 神奈川県横浜市都筑区池辺町4826-2
  • 電話:045-534-5427(平日 9:00〜17:00)
  • FAX:045-507-4223
  • お問い合わせフォーム:こちら(画像・資料を最大10枚まで添付できます)

治具の種類や設計・製作の内容は「治具の設計・製作」、これまでの実績は「実績一覧」でご覧いただけます。

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