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  • ニッパーやカッターを使う手作業を安全にするには?ゲートカットを例に、治具と安全カバーでできること
2026.10.21
コラム

「成形品のゲートをニッパーで切る作業、いつか誰かが手を切るのではないか」 「カッターでバリを削る工程は、慣れた人にしか任せられない」

刃物を使う手作業について、現場の責任者や安全担当の方から、こうした心配をよく伺います。

結論から言うと、刃物を使う手作業は「手を刃物から遠ざける」「刃の動きを決める」「刃を覆う」の3つを治具や装置に任せることで、安全にできます。 しかも多くの場合、安全にすると同時に作業も速くなり、仕上がりもそろいます。

この記事では、株式会社関東精密(神奈川県横浜市都筑区)が実際に作ったゲートカット治具・安全カバー付きゲートカット装置・バリ取り自動化装置の3つの実例をもとに、どこまで手をかければよいかの考え方をまとめます。

刃物を使う手作業では、どんな困りごとが起きやすい?

困りごとの多くは「刃物を人の手で押さえ、人の力加減で動かしている」ことから生まれます。

成形品のゲートカット・バリ取りはどんな作業か

プラスチックの射出成形品(溶かした樹脂を型に流し込んで作る部品)には、成形のあとに不要な部分が残ります。

  • ランナー(樹脂が型の中を流れてくる通り道。固まると枝のように残る)
  • ゲート(ランナーから製品へ樹脂が入る入口。製品とランナーのつなぎ目になる)
  • バリ(型のすき間に樹脂がはみ出して固まった、薄いヒレのような部分)

これらをニッパーやカッターで切り離したり、削り取ったりするのが、ゲートカットやバリ取りと呼ばれる作業です。一つひとつは小さな作業ですが、数が多いと一日じゅう刃物を握り続けることになります。

現場でよく聞く心配ごと

刃物を使う手作業について、一般によく挙がる心配は次のようなものです。

  • けがの心配:製品を片手で押さえ、もう片方の手で刃物を動かすため、刃の先に自分の指がある
  • 疲れがたまる:同じ動きを何百回もくり返すので、手首や指に負担がかかる。疲れてくると手元が狂いやすい
  • 仕上がりがばらつく:切る位置や角度が人によって違う。切り残しが出たり、切りすぎて製品に傷がついたりする
  • 白化(はっか)が出る:樹脂に無理な力がかかると、その部分が白っぽく変色することがある。見た目の不良になる
  • 人が限られる:慣れた人でないと任せられず、休みや退職で工程が止まる

けがの心配と、仕上がりのばらつきは、実は同じところから来ています。「刃物の位置と力を、人の手で決めている」ことです。ですから、ここを治具や装置に置き換えると、両方がいっしょに良くなります。

治具で刃物の作業を安全にする3つの考え方

「手を刃物から遠ざける」「刃の動きを決める」「刃を覆う」の3つです。どれか1つでも効果がありますが、組み合わせるほど安全になります。

ここで言う治具(じぐ)とは、作業のときに製品を決まった位置に置いたり、押さえたり、刃物の通り道を決めたりする専用の道具のことです。

考え方1:手を刃物から遠ざける

「製品を手で押さえなくてよい」状態を作ることが第一歩です。

手作業でけがが起きやすいのは、製品を押さえている手が刃の近くにあるからです。そこで治具では、次の2つを製品の代わりに受け持ちます。

  • 位置決め:製品を置くだけで、いつも同じ場所・同じ向きに収まるようにする。製品の形に合わせたくぼみ(倣い形状のポケット)を作るのが代表的なやり方です
  • クランプ(締め付けて固定すること):製品が動かないように押さえる。レバーやテコの原理を使えば、弱い力でもしっかり押さえられます

位置決めとクランプの基本は、位置決め・クランプの基礎の記事で詳しく説明しています。

考え方2:刃の動きを決める

刃物が「決まった道しか通れない」ようにすると、力加減や角度を人に任せなくてすみます。

ニッパーやカッターを手で持つと、角度も力も毎回少しずつ変わります。これを、ガイド(刃物の通り道を決める案内役の部品)や、レバーで刃を動かす仕組みに置き換えます。

刃の動きが決まれば、切る位置も深さもそろいます。「切りすぎて製品に傷をつけるのが怖い」という心配も、作業者が抱えなくてすむようになります。

考え方3:刃を覆う

刃が外から見えない・触れない構造にすれば、うっかり手が触れることを防げます。

  • 治具の中に刃を収め、刃が外に露出しないようにする
  • 装置の場合は、刃が動く範囲全体を安全カバーで囲う

手を刃物から遠ざけ、刃の動きを決めたうえで、最後に刃そのものを覆う。この順番で考えると、どこまで対策すればよいかが整理しやすくなります。

ゲートカットを安全にした関東精密の3つの実例

同じ「刃物を使う切り離し作業」でも、手で動かす治具から、安全カバー付きの装置、自動化装置まで、段階に応じて作り分けています。

実例1:ゲートカット治具(手で動かす卓上治具)

「置いてレバーを引く」だけで、刃に触れずにゲートを切り離せる治具です。1個あたり約70秒かかっていた作業が約10秒になりました。

射出成形品のランナー・ゲートを切り離すための、手で動かす卓上の治具です。

項目 内容
大きさ 約300×400×500mm
筐体(外側の枠)の材質 アルミ
設計の元にしたもの 製品サンプルと3Dデータ
使い方 製品を置いて、レバーを引く(ワンアクション)
作業時間 1個あたり約70秒 → 約10秒(約86%削減・約7倍)
期間 設計 約1か月 + 製作 約2週間
費用 50万円(税別)

先ほどの3つの考え方に当てはめると、次のようになります。

  • 手を刃物から遠ざける:製品の形に合わせたくぼみ(倣い形状のポケット)に置くだけで位置が決まる。テコの原理のクランプで押さえるので、手で製品を支える必要がない
  • 刃の動きを決める:カッターガイドで、いつも一定の力と角度で切れる
  • 刃を覆う:刃が露出しない構造にした

材質には、摩耗(こすれてすり減ること)に強いものを選んでいます。

この治具を入れたことで、パートタイマーの方でも熟練者と同じ仕上がりで作業できるようになりました。安全になっただけでなく、「あの人でないと任せられない」という状態も解消できた例です。

詳しくは実績ページ「ゲートカット治具」をご覧ください。

実例2:安全カバー付きゲートカット装置

安全カバーを付け、より安全に作業できるようにした装置です。

実例1と同じく射出成形品のゲートを切り離すものですが、こちらは卓上の治具ではなく、安全カバー付きの装置として製作しました。費用は150万円(税別)です。

治具は「刃が露出しない構造」で安全を確保しますが、装置では刃が動く範囲をカバーで囲うことで、手が入り込む余地をさらに減らせます。製品の大きさや形、切る箇所の数によっては、治具よりも装置の方が向いている場合があります。

詳しくは実績ページ「安全カバー付きゲートカット装置」をご覧ください。

実例3:バリ取り自動化装置

作業者は材料を入れるだけで、刃物を手で扱わずにバリ取りができる専用装置です。1個90秒の作業が7秒になり、3名で行っていた作業が1名でできるようになりました。

射出成形品(樹脂)のバリ取りを自動で行う装置です。

項目 内容
大きさ 500×400×600mm
仕組み 成形品の形に合わせてブラシを配置し、自動でバリを取る
作業者の仕事 材料を入れるだけ
作業時間 1個90秒 → 7秒(約92%削減・約12.8倍)
人数 3名 → 1名
期間 構想〜完成 約3〜6か月
費用 約300万円(税別)

バリの取り方(工法)を決めるところから始め、機械・電気・PLC(装置の動きを制御する小さなコンピューター)・回路基板の設計、組立、現地での調整まで、当社一社で行いました。

作業者が刃物を手に持つ場面そのものをなくしたので、3つの考え方でいえば「手を刃物から遠ざける」を最後まで突きつめた形です。

詳しくは実績ページ「バリ取り自動化装置」をご覧ください。

手作業・治具・安全カバー付き装置・自動化装置は、どう選べばよい?

「作業の量」と「どこまで人の手を刃物から離したいか」で選びます。いきなり自動化を目指す必要はありません。

4つのやり方の比較

手作業 治具 安全カバー付き装置 自動化装置
実例 (治具導入前) ゲートカット治具 安全カバー付きゲートカット装置 バリ取り自動化装置
作業者がすること 製品を押さえ、刃物を動かす 製品を置いてレバーを引く ― 材料を入れる
刃との距離 刃の近くに手がある 刃が露出しない構造 安全カバーで覆う 刃物を手で扱わない
1個あたりの時間 約70秒(ゲートカット)/90秒(バリ取り) 約10秒 ― 7秒
人数 3名(バリ取り) ― ― 1名
費用(税別) ― 50万円 150万円 約300万円
期間 ― 設計約1か月+製作約2週間 ― 約3〜6か月

※「―」は、実績ページに数値の記載がない項目です。

選ぶときの目安

  • まずは治具から:作業の流れは今のまま、刃に触れない・力加減を人に任せない状態を作れます。費用と期間をいちばん抑えられます
  • 装置にするとき:刃が動く範囲全体を覆いたい場合や、治具では手が刃に近づく場面が残る場合は、安全カバー付きの装置を検討します
  • 自動化するとき:数が多く、人手がかかっている作業なら、自動化で「刃物を手で扱わない」状態まで持っていけます。人を別の仕事に回せる効果も大きくなります

治具は、1台の設計・製作の費用がその1台にすべてかかるため、どうしても「1個もの」の値段になります。費用の考え方は治具製作の費用の記事で詳しく説明しています。

また、使わなくなった治具がある場合は、新しく作らずに改造して使える場合もあります(費用は新規製作の30〜50%が目安)。詳しくは治具の改造・改修をご覧ください。

刃物の手作業を相談するとき、何を伝えればよい?

「どんな製品を、何で、どう切っているか」が分かる写真や動画があれば、図面がなくても相談できます。

次のことが分かると、治具にするか装置にするかの判断が早くなります。

  • 製品の写真(切る前と切った後の両方があると分かりやすい)
  • 今の作業の様子(どう押さえて、何の刃物で、どこを切っているか。スマートフォンの動画でも構いません)
  • 1日・1か月あたりの数量と、何人で作業しているか
  • 今困っていること(けがの心配、時間がかかる、仕上がりのばらつき、白化など)
  • 製品の3Dデータや図面(あれば。なくても構いません)
  • 予算や時期の目安(決まっていれば)

図面がない場合でも、製品の現物を3Dスキャン(立体の形を読み取ること)して、製品の形を反転させたくぼみ(ネガ形状)を持つ治具を設計する方法があります。

お問い合わせフォームからは、写真や資料を最大10枚まで添付できます。

関東精密が選ばれる理由

治具を「使う側」の目線で設計し、部品加工から組立まで一社で仕上げられることです。

1. 自社で部品加工をしている現場目線の設計

当社は精密部品の加工を自社で行っているメーカーです。そのため、「作業する人が本当に使いやすいか」「刃物のそばに手が行かないか」を、製造業の現場目線で考えて設計できます。

2. 設計から部品加工・組立まで一貫対応

治具の設計、部品の加工、組立までを一貫してお受けしています。バリ取り自動化装置のように、機械・電気・PLCまで含めた装置も、組立・現地調整まで一社で対応した実績があります。

3. 加工精度±0.001mm、平均20年以上の熟練技術

加工精度は±0.001mm(1000分の1ミリ)。平均20年以上の経験を持つ技術者が、同時5軸マシニングセンター(マザック VARIAXIS C-600)などの設備で加工します。刃物のガイドのように、わずかなずれが仕上がりに響く部品も、精度よく作れます。

4. 図面がなくても、写真1枚から相談できる

図面がない段階でも、現物や写真からご相談を伺います。見積もりは即日返信を心がけており、全国発送にも対応しています。

5. 機密の扱いと、秘密保持契約(NDA)への対応

お預かりした製品や資料は社内で厳重に管理します。秘密保持契約(NDA:外部に情報を漏らさないという約束の契約)にも対応しています。

よくある質問

Q1. ニッパーで切っている作業も、治具で安全にできますか? A. はい。ニッパーやカッターで手で切っている作業を、「置いてレバーを引く」だけの治具に置き換えた実例があります(ゲートカット治具)。刃が露出しない構造にし、製品は治具が押さえるので、手が刃に近づきません。

Q2. 安全にすると、作業が遅くなりませんか? A. 多くの場合、逆に速くなります。ゲートカット治具では1個あたり約70秒が約10秒に、バリ取り自動化装置では1個90秒が7秒になりました。製品を押さえる・角度を合わせるといった手間を、治具や装置が受け持つためです。

Q3. 治具と装置は、どちらを選べばよいですか? A. 数量や、どこまで手を刃物から離したいかで決めます。まず治具で考え、刃が動く範囲全体を覆いたい場合は安全カバー付きの装置、数が多く人手がかかる場合は自動化装置を検討します。ご相談いただければ、作業の様子を伺ったうえでご提案します。

Q4. 費用はどのくらいかかりますか? A. 実例では、ゲートカット治具が50万円(税別)、安全カバー付きゲートカット装置が150万円(税別)、バリ取り自動化装置が約300万円(税別)でした。製品の形や作業の内容によって変わりますので、お見積もりでご確認ください。

Q5. どのくらいの期間でできますか? A. ゲートカット治具は設計約1か月+製作約2週間、バリ取り自動化装置は構想から完成まで約3〜6か月でした。治具の開発期間は1か月〜が目安です。

Q6. パートタイマーや新人でも使えますか? A. はい。ゲートカット治具は、パートタイマーの方でも熟練者と同じ仕上がりで作業できるようになった例です。位置と力加減を治具が決めるので、経験による差が出にくくなります。

Q7. 図面がなくても相談できますか? A. できます。製品の写真や作業の動画からご相談を伺います。現物を3Dスキャンして、製品の形に合わせた治具を設計する方法もあります。

Q8. 神奈川県外からでも頼めますか? A. はい。全国発送に対応しています。お問い合わせフォームから写真や資料を最大10枚まで添付できますので、まずは今の作業の写真をお送りください。

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お問い合わせ

「この刃物の作業、なんとか安全にできないか」と思ったら、今の作業の写真を1枚お送りください。代表の杉田がお話を伺います。

株式会社関東精密 〒224-0053 神奈川県横浜市都筑区池辺町4826-2 TEL:045-534-5427(平日9:00〜17:00) 治具の設計・製作サイト:https://kanto-jigu.jp/

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