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  • 治具を入れると作業時間はどれだけ短くなる? ― 導入効果の測り方と、当社の実例5件
2026.10.28
コラム

「治具(じぐ:製品を決まった位置に置いて押さえ、作業を正確に速くするための道具)を入れたいが、上司にどれくらい効果があるのか説明できない」。現場の責任者や生産技術の方から、よく聞くお悩みです。

結論から言うと、当社が手がけた治具・装置では、1個あたりの作業時間が約70秒から約10秒(約86%削減)、90秒から7秒(約92%削減)に短くなった例があります。 ただし、効果は時間だけに出るとは限りません。「人数」「段取り」「不良」「検査」にも表れます。

そして、社内に効果を説明するときに一番大事なのは、治具を入れる「前」の数字を測っておくことです。前の数字がなければ、どれだけ良くなったかを誰にも示せません。

この記事では、横浜市都筑区で治具の設計・製作を行う株式会社関東精密の実例5件をもとに、次の3つをお伝えします。

  • 治具の効果は、どんな「ものさし」で測れるのか
  • 導入前に、何を、どうやって測っておけばよいのか
  • 上司や経営者に説明するとき、数字をどうまとめればよいのか

目次

治具で作業時間を短縮した事例はある? ― 当社の実例5件

あります。当社の実例5件を、変わったことと数字で一覧にしました。

治具 変わったこと 数字
ゲートカット治具 1個あたりの作業時間/仕上がりのばらつき 約70秒 → 約10秒(約86%削減・約7倍)。パートタイマーでも熟練者と同じ仕上がり
バリ取り自動化装置 1個あたりの作業時間/作業者の人数 90秒 → 7秒(約92%削減・約12.8倍)。作業者 3名 → 1名
ベンダー用曲げ型の加工治具 段取りの時間 1本ずつ加工していた頃に比べ、段取り時間が3分の1
樹脂ギヤのキー溝加工治具 不良の数 不良がほぼなくなった
弓形部品の穴の検査治具 検査の手間 1個の検査が一瞬で終わる

※客先の情報を守るため、お客様の名前や業種は伏せています。

表を見ると分かるとおり、5件とも「速くなった」だけではありません。人が減った例、準備が短くなった例、不良が減った例、検査が楽になった例があります。それぞれ簡単にご紹介します。

ゲートカット治具:1個あたり約70秒が約10秒に

射出成形品(樹脂を金型に流し込んで作る部品)から、ランナー・ゲート(樹脂の通り道として固まった不要な部分)を切り離すための、手で動かす卓上の治具です。

製品の形に合わせたくぼみに置くだけで位置が決まり、テコの原理で押さえ、カッターの向きもガイドで決まります。作業は「置いてレバーを引く」だけです。その結果、1個あたり約70秒かかっていた作業が約10秒になりました。パートタイマーの方でも熟練者と同じ仕上がりになり、刃が外に出ない構造にしています。費用は50万円(税別)でした。

バリ取り自動化装置:90秒が7秒に、3名が1名に

樹脂の成形品のバリ(成形のときにはみ出した薄い余分な部分)を自動で取る専用装置です。成形品の形に合わせてブラシを並べ、機械・電気・PLC(機械の動きを制御する装置)まで社内で設計しました。

1個90秒の手作業が7秒になり、この作業に必要な人が3名から1名に減りました。費用は約300万円(税別)、構想から完成までは約3〜6か月です。

ベンダー用曲げ型の加工治具:段取り時間が3分の1

長さの違う曲げ型をまとめて載せ、一度に加工するための治具です。型の厚みや種類が違っても、同じ治具で位置がそろいます。1本ずつ段取り(加工を始める前の取り付け・位置合わせの準備)をしていた頃に比べ、段取り時間が3分の1になりました。

樹脂ギヤのキー溝加工治具:不良がほぼなくなった

樹脂の歯車を決まった位置で押さえ、中心の穴に対してキー溝(軸と歯車を回り止めするための溝)を正確に彫るための治具です。治具を機械に固定し、製品を入れるだけにしたことで、不良がほぼなくなりました。

弓形部品の穴の検査治具:1個の検査が一瞬で終わる

弓のような形の部品に、穴が正しい位置・正しい直径であいているかを確かめる治具です。穴の位置に合わせてピンを配置し、1個の検査が一瞬で終わるようになりました。

治具の効果は何で測ればいい? ― 5つのものさし

「時間」「人数」「段取り」「不良」「検査」の5つで見れば、ほとんどの効果を数字で説明できます。

ものさし 何を見るか 当社の実例
① 時間 1個あたりの作業時間(秒) ゲートカット治具、バリ取り自動化装置
② 人数 その作業に何人が張り付いているか バリ取り自動化装置(3名→1名)
③ 段取り 加工や作業を始めるまでの準備時間 曲げ型の加工治具(3分の1)
④ 不良 作り直し・捨てる数、歩留まり(良品の割合) キー溝加工治具(ほぼゼロに)
⑤ 検査 1個を確かめるのにかかる手間と時間 穴の検査治具(一瞬で終わる)

① 時間:1個あたり何秒かかっているか

一番分かりやすいものさしです。「1個に何秒かかるか」が短くなれば、同じ時間で作れる数が増えます。タクトタイム(1個を作るのに割り当てられた時間の目安)に作業が間に合っていない工程ほど、効果がはっきり出ます。

② 人数:何人でやっている作業か

速くなった分を「人を減らす」ことに使えるのが、このものさしです。減った人は別の工程に回せるので、人手不足の現場では時間以上に喜ばれることがあります。

③ 段取り:準備に何分かかっているか

段取りは製品を作っていない時間です。品種が多く、少しずつ作る現場ほど段取りの回数が増え、ここを短くする効果が大きくなります。段取りの考え方は「治具で段取り時間を短くするには」でも詳しく書いています。

④ 不良:何個が作り直し・廃棄になっているか

不良が減ると、材料代、作り直しの手間、お客様への説明の手間がまとめて減ります。時間は変わらなくても、不良が減るだけで治具の元が取れることもあります。治具の有無と品質・コストの関係は「加工治具があると品質とコストはどう変わる?」をご覧ください。

⑤ 検査:1個を確かめるのに何秒かかっているか

ノギスやピンゲージで1か所ずつ測っている検査は、治具で「はめるだけ」にすると大きく変わります。全数検査(1個残らず検査すること)に切り替えやすくなるのも利点です。

治具を入れる前に何を測っておけばいい?

「1個あたりの秒数」「人数」「1日の数量」「不良の数」「段取りの時間」の5つを、ふだんどおりの作業で測っておけば十分です。

ここからは、どの現場でもできる一般的な測り方です。

測るもの 測り方の例 記録しておくこと
1個あたりの秒数 ストップウォッチで10個測り、平均する 作業者名、測った日、平均と一番遅い値
人数 その作業に何人が何時間ついているか数える 人数×時間(例:2人×8時間)
1日の数量 日報や出荷数から1日に何個作っているか調べる 1週間分くらいの平均
不良の数 作り直し・廃棄になった数を数える 1か月分の数と、多い不良の内容
段取りの時間 前の品物が終わってから次の良品1個目ができるまでを測る 1回の分数と、1日・1週間の回数

1個あたりの秒数は、10個測って平均する

1個だけ測ると、たまたま速かった・遅かったが混ざります。10個続けて測り、平均を出してください。できれば、慣れた人と慣れていない人の両方を測っておくと、「人による差」も数字で見えます。この差は、治具を入れたあとに「誰がやっても同じになった」と示す材料になります。

段取りは「次の良品1個目」までを測る

段取りは、道具を付け替えている時間だけではありません。位置合わせ、試し加工、測って直す時間まで含めて測ります。ここを短く見積もると、治具の効果も小さく見えてしまいます。

不良は「数」と「中身」を分けて記録する

不良の数だけでなく、「位置ずれ」「寸法違い」「キズ」など中身も書いておきます。治具が効くのは、置き方や押さえ方が原因の不良です。中身が分かると、治具で減らせる不良かどうかを判断しやすくなります。

写真と動画も残しておく

今のやり方を写真や短い動画で残しておくと、治具を相談するときに役立ちます。当社のお問い合わせフォームには、画像や資料を最大10枚まで添付できます。

上司や経営者にはどう説明すればいい? ― 計算例

「浮いた時間 × 人件費」を1か月あたりの金額にし、治具の費用を何か月で取り戻せるかを示すと伝わりやすくなります。

ここからは説明のための計算例です。数字はすべて仮のもので、当社の実績の数字ではありません。

計算例:1個60秒の作業が20秒になった場合(仮の数字)

項目 仮の数字
今の作業時間 1個 60秒
治具を入れたあとの作業時間 1個 20秒
1日の数量 300個
人件費 1時間 2,000円
1か月の稼働日 20日
治具の費用 80万円

計算の流れはこうです。

  1. 1個あたり浮く時間:60秒 − 20秒 = 40秒
  2. 1日に浮く時間:40秒 × 300個 = 12,000秒 = 200分(約3.3時間)
  3. 1日に浮く人件費:約3.3時間 × 2,000円 = 約6,700円
  4. 1か月に浮く人件費:約6,700円 × 20日 = 約13.4万円
  5. 治具の費用を取り戻すまで:80万円 ÷ 約13.4万円 = 約6か月

数字に入れておきたいこと

時間だけで計算すると、効果を小さく見積もりがちです。次のものも、分かる範囲で足しておくと説得力が増します。

  • 不良が減った分:材料代と作り直しの手間
  • 段取りが短くなった分:1回の短縮分 × 1か月の回数
  • 検査が短くなった分:1個の短縮分 × 1か月の数量

逆に、治具の手入れや部品交換にかかる費用は差し引いておくと、上司からの質問にも答えやすくなります。治具の費用の考え方は「治具製作の費用はどう決まる?」で詳しく解説しています。

1枚にまとめるなら

説明資料は、次の3行があれば十分です。

  • 今:1個○秒、○人、不良○個/月(導入前に測った数字)
  • 治具を入れたあと:1個○秒、○人、不良○個/月(見込み)
  • 費用と回収:治具○万円、約○か月で回収(計算例のとおり)

数字に出ない治具の効果は?

「仕上がりがそろう」「人に頼らなくてよくなる」「安全になる」の3つです。社内の説明では、数字と並べて必ず書いておきたい点です。

仕上がりがそろう

置く位置、押さえる力、刃の角度が治具で決まると、誰がやっても同じ仕上がりになります。ゲートカット治具では、パートタイマーの方でも熟練者と同じ仕上がりになりました。

人に頼らなくてよくなる

「あの人しかできない作業」は、その人が休むと止まります。治具で作業を「置く・引く」「入れるだけ」にすれば、新人やパートタイマーの方にも任せられます。熟練者は、もっと難しい仕事に回れます。作業治具の考え方は「作業治具で生産性はどう上がる?」もご覧ください。

安全になる

刃物を手で扱う作業は、けがの心配があります。ゲートカット治具は刃が外に出ない構造にしました。より安全を重視した例として、安全カバー付きのゲートカット装置もあります。労災(仕事中のけが)の心配が減ることは、金額にしにくくても大きな効果です。

治具の相談先として関東精密が選ばれる理由

「自社で部品を加工している現場目線」と「設計から組立まで一社で終わる体制」の2つが大きな理由です。

1. 加工の現場を知っている人が設計する

当社は自社で精密部品を加工しています。だからこそ、使う人の手の動きや、段取りで困る点を分かったうえで治具を設計できます。加工は平均20年以上の経験を持つ職人が担当し、加工精度は±0.001mm(1000分の1mm)まで対応します。

2. 設計・部品加工・組立まで一貫対応

治具の設計から部品加工、組立まで社内で行います。バリ取り自動化装置では、機械・電気・PLCの設計から、組立・現地での調整まで一社で行いました。試作の1台から量産まで対応します。

3. 図面がなくても相談できる

「こういう作業を楽にしたい」という段階からご相談いただけます。現物を3Dスキャン(立体の形を読み取ること)して、その形に合わせた治具を設計する方法もあります。

4. 見積もりは即日返信、全国に発送

お見積もりのご依頼には即日お返事します。横浜市都筑区の工場から全国へ発送しています。機密情報は社内で厳重に管理し、秘密保持契約(NDA)にも対応します。

5. 今ある治具の改造・改修もできる

使わなくなった治具を直して使う方法もあります。新しく作る場合の30〜50%の費用で済んだ例があります。詳しくは「治具の改造・改修」をご覧ください。

よくある質問

治具を入れれば、必ず作業時間は短くなりますか?

必ずとは言えません。キー溝加工治具のように、時間より「不良が減る」形で効果が出ることもあります。導入前に5つのものさしで測っておけば、どこに効いたかを示せます。

導入前の測定は、どれくらいの期間やればよいですか?

1個あたりの秒数は10個の平均で構いません。数量や段取りの回数は1週間分、不良の数は1か月分あると、ふだんの姿に近い数字になります。

図面がなくても相談できますか?

はい、できます。作業の様子の写真や動画、製品のサンプルがあれば、そこから一緒に考えます。現物を3Dスキャンして治具を設計する方法もあります。

治具の費用はどれくらいかかりますか?

内容によって大きく変わります。当社の実例では、ゲートカット治具が50万円(税別)、安全カバー付きゲートカット装置が150万円(税別)、バリ取り自動化装置が約300万円(税別)でした。費用の決まり方は「治具製作の費用」で解説しています。

完成までどれくらいかかりますか?

開発期間は1か月からが目安です。ゲートカット治具は設計約1か月+製作約2週間、バリ取り自動化装置は構想から完成まで約3〜6か月でした。

今使っている治具を直して使うことはできますか?

できる場合があります。新しく作る場合の30〜50%の費用で改造した例があります。写真や図面を送っていただければ、診断・評価は無料です。

横浜から遠い会社でも頼めますか?

はい。全国発送に対応しています。ご相談はメールフォームからお受けしており、画像や資料を最大10枚まで添付できます。

社内の製品情報を見せても大丈夫ですか?

機密情報は社内で厳重に管理しています。秘密保持契約(NDA)を結んでからのご相談も可能です。

治具の導入効果について相談したい方へ

「うちの作業だと、治具でどれくらい変わるだろう」と思われたら、今の作業の写真や、測った秒数を添えてご相談ください。お問い合わせは代表の杉田が直接お話を伺います。

ほかの事例は「実績一覧」、治具づくりの全体像は「治具の設計・製作」をご覧ください。

株式会社関東精密 〒224-0053 神奈川県横浜市都筑区池辺町4826-2 TEL:045-534-5427(平日9:00〜17:00)/FAX:045-507-4223 治具の設計・製作:https://kanto-jigu.jp/ お問い合わせ:お問い合わせフォーム

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